関西大学応援団リーダー部初の外国人部員となった交換留学生、トーマス・チャンセラーさん(21)に、応援団から「友情の学ラン」が贈られることになった。
185センチ、133キロの巨体に合う超ビッグサイズで、値段はなんと12万円。8月に帰国するチャンセラーさんの好きな日本語「愛」が背中に刺繍された特注品で、応援団の魂が海を渡ることになりそうだ。
チャンセラーさんが着る学ランは現在、同じ体型の部員のものを借りている状態。応援団団長の森山佳広さん(21=社4)は「応援団の活動を最後まで続けられたら、贈ろうと考えています」と明かした。【写真=押忍!迫力の学ラン姿を見せるトーマス・チャンセラーさん(右)と応援団リーダー部団長の森山佳広さん】
マンガ「NARUTO」にハマり、日本にあこがれたオタク米国人が、応援団の門を叩いた。昨年9月、米ミズーリ大学から関大へ。フタバボウルでビリヤードに熱中したり、RPGの同好会に参加するインドアな生活を送っていたが…。
4月に千里山キャンパスで行われたスプリングフェスティバルで、偶然見た応援団の演舞に体がしびれた。「とてもクール。かっこいいと思った」。入部を直訴し、硬派すぎる関大生生活を送ることになった。
88年の歴史を持つ同部にとって、外国人の入団に葛藤があった。森山さんは「これも時代の流れかと思った。でもやっぱり、部員やOBに相談したら、みんな驚いていた」と振り返る。
部員総出で、応援団の綱領を英訳。米国人にはなかなか伝わりにくい敬語や礼儀、上下関係などを根気よく教えた。チャンセラーさんも、携帯プレーヤーで学歌や応援歌を完璧にマスター。試練の新歓合宿も耐え切った。
「楽しいキャンプ、と説明されていたので、あまりの厳しさにビックリした。団長は今でも時々、怖いと思います」と、チャンセラーさんは大きな背中を丸める。
5月3日に甲子園球場で行われた関西学生野球・関学大戦で応援デビュー。アフロヘアを振り乱し、大汗をかきながら応援する姿は関大生のド肝を抜いた。メディアも注目し、テレビ、新聞など12社の取材が殺到中だ。
帰国まであと2カ月。半年間の?男塾?生活を終えると、仲間から卒業の証が贈られる。「もし怖いことあったら、向き合う。これはいいチャレンジです」とチャンセラーさん。応援団のかっこよさにあこがれた留学生は、自身が「クール」な存在となった。