2009年04月05日
「餃子の王将」餃子10人前大食い・必勝法その1
神が降りてきた。学生レスラーの意地を見た。侍ジャパンのWBC制覇で日本中が沸いていた3月26日、関大前でもうひとつのWBCが繰り広げられていた。
「KWAのベノワ(22=工学部5)が、いまから王将の餃子10人前大食いに挑戦するらしい」。こんなどうでもいい、アホらしい一報が入ったのが夜10時15分過ぎだった。餃子の王将の餃子10人前大食い−−確かに前から、気になっていた。
テレビ東京の「カンブリア宮殿」という番組でも、取り上げられていた過酷なフードバトル。餃子10人前を15分間で食べ切ることができたら代金無料、失敗したら代金2000円になるという学生街らしい企画だ。
なんでこんな時間に、という疑問よりも「なんでベノワ?」という思いが頭をもたげる。できるのか…いかんせん細すぎる。ベッキーのほうがはるかに太い、ポッキーのような体型。しかも、ベノワは実家通いで日々の食事に困る由がない。せっぱつまった欠食学生がどうしようもなく、というハングリーさもない。
王将に着くと、ベノワはカウンターに座らされ、店員の説明を受けていた。「トイレに行くことは禁止。失敗したら、代金2000円いただきます」。決戦前からか、緊張のあまり顔がひきつる。イチローというよりは、車イスで帰国する時の村田のような表情をしていた。
以前カレーのココイチで、2キロのカレー大食いに挑戦した客を何度か見たことがある。店内の女の子が「がんばってくださ〜い」とか応援していて、テニスサークルのような雰囲気があった。だが、さすがは王将。阪神電車の車内のような、やるかやられるかの空気が漂っていた。
「うっ」。ベノワが思わず声を上げる。焼きたて60個の餃子は、野球のグローブが2つ並んでいるようだった。店員がストップウォッチを押し、おもむろに試合開始のゴングが鳴った。
その時だった。ベノワはコップの水を、打ち水のように湯気の立つ餃子に撒き始めた。まさかの奇襲戦法。ギャラリーからどよめきが上がり、隣で天津飯を食べていた兄ちゃんは、明らかに不機嫌そうな顔をしていた。
【2に続きます】
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