2014年01月19日
町田さん壮行会2「歯車を合わせていく」
【1から続きます】
ーうまくいかないという発言があったが
「毎日いろいろあるわけですけど…。調子悪いというか、コンディションがまだ万全ではない。そのたびに自分に腹が立つ。練習やめたいなとかつらいとか、もやもやした気持ちになるけど…。みんなの頑張りだったり、こうやって応援してもらっていて、そういう時にでもしっかり自分に負けずに、こういう時こそどれだけ努力できるかと思う。臨海スポーツセンターがなければ今の自分はない。ソチの出場権も得られていないと断言できます」
ー調子が悪いのはジャンプですか
「特にジャンプが不安定です。スケートはジャンプ、ステップ、スピン、いろんなスケーティングとかいろんな歯車がかみ合ってひとつの作品になっている。何かひとつが狂ってくると、プログラム自体のコンディション悪くなる。いまそういう感じですが、ソチまでに絶対間に合わせます。どんどん歯車を合わせて、ひとつの作品に仕上げていきたい。これは僕だけに限った話ではない。どこかに不安があると、プログラム自体のコンディションが悪くなっていく。フィギュアはそれだけ繊細な競技」
ーソチまでにどんなストーリーを描いているか
「ソチは最初で最後の五輪。人生一度きりの舞台。絶対に後悔したくないし、堪能したい。フィギュアだけではなく他競技のトップアスリートも集結する貴重な経験の場。いい演技をしていい成績をかっぱらって、自分の学ぶべきことをすべて学んでできることはすべてやって帰りたい。欲張りです」
ー五輪までのスケジュールは
「ここ(臨海)で腰を落ち着かせて、毎日練習して出発します。毎日5時に起きて、朝練して、あとは昼か夜に3〜4時間ですかね…」【写真・大阪府立臨海スポーツセンターで行われた壮行会であいさつする町田樹さん】
ー靴へのこだわりは
「靴の軽量化が進んで、みんな軽い靴へと行くんですけど、軽い靴は一概にベストではない。その人に合った靴の重さなり、ブランドがある。僕にとって小杉スケートの靴とエッジが一番。ハンドメイドだから安心感がある。エンジニアも一流なので安心してゆだねています」
ー重さが競技に影響が出てくる?
「これから研究していくべき分野。軽いと力やいろんなポジションはとりやすいが、ジャンプになってくると軽いことが一概にいいのかと言われるとそうとも言えない。遠心力とか振り子の力もあって跳んでいる部分もあるので、一概に軽さがジャンプの向上につながるかといえばそれは謎だと思う。スパイラルにも負担がかかるしより簡単に持続時間が長くできるので、美を追求するには軽い靴がいいかなと思う。僕も来年からは軽い靴を視野に入れていきたい」
ー臨海のリンク環境は
「僕は小さな頃からジプシーをやっていて、広島のリンクは半年しかやっていないリンクだった。岡山とか山口とか福岡とか島根とか…。車に2時間かけて往復4時間ですよね。それで練習時間は1時間で、学校終わってから行くので、帰りは夜12時過ぎることがある。大変な思いをしてきた。それだけにリンクのあるありがたさは誰よりも分かっているつもりです。アメリカの環境は整っていて、育成するためのリンクはあるので、環境はいいと思う。ただ、良すぎて依存することがけっこうあるし、異文化のストレスだったり一概には言えない。いろいろ経験してきてここに帰ってきて本当にいろんなことがあって、いろいろな思いがつまったリンク。危機を乗り越えたリンクだからこそ気が引き締まる。これほどいい環境はないと思う。どのリンクに携わる人も五輪選手を出したいという思いは当然。そんな思いに貢献できたことは光栄。あとは出場するだけでなく、求められる演技や結果を出したいと思う」