2014年09月03日
関大天六学舎で閉鎖式典 350人がひとつの輪に
10月に解体工事が始まる関西大学天六キャンパスの閉鎖式典「クロージングイベント ありがとう天六学舎」が3日、大阪市北区の同キャンパスで行われ、大学関係者ら350人が別れを惜しんだ。
人影がなかったキャンパスに、往年の熱気が戻った。2部(夜間部)の1限開始時刻とほぼ同じ、午後6時に始まった夜の閉鎖式典。会場になった講堂には、頭がすっかり白くなった夜間部の卒業生があふれた。キャンパス内には模擬店が並び、学園祭風に。最後は350人が肩を組み合い、ひとつの輪になって逍遥歌を熱唱。「ありがとう天六、ありがとう関大!」の声が飛んだ。
天六キャンパスは、1929年(昭和4)に開設。関西大学本部や工学部があったが、大阪市内に近いことから、働きながら関大に通う2部学生の授業専用に。高度成長期真っ只中の1970年(昭和45)には、4000人以上の学生が通っていた。
2部は1994年(平成6)、千里山キャンパス移転した後、03年(平成15)にフレックスコースの名を変え廃部となった。エクステンションリードセンターや大学院の授業が行われていたが、近年はまったく使われていなかった。関西大学は、同キャンパスを阪急不動産に売却。跡地は高層マンションが建つ予定だ。
天六キャンパスの事務室で8年間働いていた池内啓三理事長(71)は「正門の前で制服を脱いで授業に出ていた警察官や自衛官もいた。60歳のおかあちゃんが奨学金を貸してくれと来たこともあった。事情があって昼間通学できない学生の不屈の精神と個性が交錯する、熱気あふれるキャンパスだった」と懐かしんだ。
15日には卒業生や地域住民向けの最後のイベントが行われ、働きながら大学に通うという意志は、2年後に開学する梅田キャンパスに受け継がれる。
【写真上・最後は350人がひとつの輪になり、天六キャンパスに別れを告げた 写真下・講堂では閉鎖式典が行われた】