文学部生を退学処分 懲役4年求刑
会社員男性を堺市内の雑居ビルの2階階段踊り場から投げ落とし、頭などを蹴ったとして、傷害罪に問われた関西大学文学部の元学生で体育会空手道部部員だった前座領浩介被告(22)の論告求刑公判が20日、大阪地裁堺支部(畑山靖裁判官)で開かれた。
検察側は「被害者は重篤な障害を負わされ、日常生活に戻れることはない。暴行の内容は危険かつ悪質。酌量の余地は乏しい」などとして、懲役4年を求刑。弁護側は「空手の技を使ったわけではなく、階段の上から投げ落としたという明確な意識がない」と執行猶予付きの判決を求めて結審した。
関西大学文学部の教授会は3月9日付で、前座領被告を退学処分にした。【写真上・公判が開かれた大阪地裁堺支部 写真下・犯行現場となった雑居ビルの踊り場】
起訴状などによると、前座領被告は昨年12月23日午前2時46分ごろ、ガールズバーや風俗店が入ったビルの階段踊り場で、口論となった35歳の会社員男性を、背後から右肩をつかんで投げた。階段から落ち、倒れた会社員男性の頭をさらに蹴り、救命措置をせずその場から立ち去ったとされる。
前座領被告はキャバクラなどで酒を飲み、当時の状況について「覚えていない」としている。一緒にいた友人から犯行を知らされ、昨年12月28日、父親とともに大阪府警堺署に出頭した。
会社員男性は泉佐野市内の病院に搬送されたが、急性硬膜下血腫や頚椎骨折などで、意識が戻らない状態が続いている。この日の公判では「医師から事故から搬送まで時間が空いたことが致命的。せめて救急車を呼んでくれていたら。被告は具体的に償いの気持ちを示したことがない。懲役15年の刑を求めます」などとする被害者母親の身上書が読み上げられた。